GEEKOM Air 12 Lite 、Mini PCです。
2024年も最終盤に入り、いよいよ2025年も目と鼻の先まで迫ってきました。
2025年と言えば、長らく歴史を刻んできたWindows 10のサポート終了が10月14日に訪れる旨がアナウンスされており、まだしばらく猶予があると思っていたところ、現実には既に1年を切っています。
今もWindows 10を利用されている方は多いと思いますが、このスケジュールが大幅に変わる可能性はほとんど無いと考えられるため、移行を真剣に検討しなくてはならない時期と言えるでしょう。
とは言え、AI PCなる製品ラインナップも徐々に出始めてきていることもあり、こういった新世代PCの売れ行きを見守りつつ、製品としての「こなれ感」をもう少し待ちたいという方も少なくないはずです。
PCは昔ほど高くなくなりましたが、それでも様々な物価が上昇を続ける世の中においては無駄な出費は避けたいというのが本音だと思います。
つまり、それなりの性能は持ちつつも、次の本命を見定めるまでの「繋ぎ」としてもコスパの高いWindows 11 PC、というのがこの年末年始当たりの買い替え需要における大きなキーワードになるでしょう。
そんなニーズを察してか、Windows 11への移行先として手頃な価格とスペックの高コスパを兼ね備えつつ、コンパクトさや実用性も高い新製品がGeekomさんからリリースされましたのでご紹介。
本製品の特徴は以下の通り。
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低消費電力ながら十分な性能で人気のIntel N100プロセッサを搭載
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独自開発の「Iceblast」により本体内の高い冷却性能を実現
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コンパクトながら多数のUSBポート搭載により高い拡張性を確保
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Windows 11 ProfessionalをOSに採用しオフィス用Mini PCとしても活用可能
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長く使う場合も安心なメモリとSSDの拡張に対応
【基本スペック】
CPU | Intel N100 |
メモリ | 8GB(最大16GBまで増設可能) |
ストレージ | 256GB(最大1GBまで増設可能) |
OS | Windows 11 Professional |
Microsoft Office | なし |
Bluetooth | バージョン 5.1 |
Wi-Fiバージョン | Intel Wi-Fi 5 |
拡張ポート |
USB 3.2 Gen2×4 (前面2ポート、背面2ポート) USB 2.0×2(背面) HDMI 2.0×1 DP 1.4×1 |
【付属品】
本製品の付属品は以下の通り。
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製品本体
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ACアダプタ
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電源ケーブル
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HDMIケーブル
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VESAマウントキット
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取扱説明書
【本体回り】
まず、本体天面です。
本製品のメーカであるGEEKOMさんのロゴが中央に入っている以外は特に装飾もなく、非常にシンプルなデザインになっています。
ボディも黒が基調になっており、落ち着いた雰囲気ですので個人ユース、企業ユースのどちらでも違和感なく使えそうです。
次に、本体正面です。
左から順に、電源ボタン、USB 3.2ポート×2基、9ピンコネクタ、マイク端子、ヘッドホン端子といった様々なインターフェイス類がありあります。
USB Type-Cポートが無いのは少し残念ですが、必要最小限のポートは担保されている印象です。
また、ヘッドホンとマイク端子がしっかりと用意されているのも、有線派には嬉しい配慮です。
次に、本体左右側面です。
お洒落な形状の大きな通気口が両サイドにあり、デザイン性と実用性が両立されています。
なお、少しわかりにくいですが片側にはケンジントンロック用の穴も確保されています。
次に、本体背面です。
上部にも通気口が空けられているほか、インターフェイス類は左から順に、Displayポート、LANポート、USB 2.0ポート×2基、USB 3.2ポート×2基、HDMIポート、ACアダプタ接続用コネクタといった具合です。
DisplayポートとHDMIポートがありますので、もちろん2画面同時出力も可能になっており、作業効率を意識したオフィス用途にも応えてくれます。
また、ミニサイズのPCとは言え、ノートPCでは排除されがちな有線LANポートがあるのも何気に嬉しいポイントです。
次に、本体底面です。
本製品にはマウントキットも用意されているものの、テーブルの上に横向けに置くことも想定されているため、しっかりと4隅に足が設けられています。
また、ネジの位置が分かりやすく、サイズ的にもメンテナンスしやすいのは流石Mini PCをたくさんリリースされているメーカならでは、といったところです。
次に、ACアダプタです。
本製品は電源内蔵タイプではないため、ACアダプタが必要になってしまいますが、それでもIntel N100を採用していることにより、電力消費が非常に小さく、アダプタ自体もコンパクトかつ軽量です。
次に、電源ケーブルです。
コンセント差し込み部は3ピンタイプになっており、変換コネクタも付属しないため、2ピンコネクタでは差さらない点に注意が必要です。
なお、PCを接続するのであれば本来3ピンを2ピンに変換するコネクタを用意するのではなく、3ピンのタップなどを用意する方がベターだと思います。
次に、HDMIケーブルです。
おまけ的な立ち位置なのだと思いますが、必要最小限の長さのものが付属しています。余裕を持って配線したい時や、2画面で本製品を使いたい時には事前に必要なケーブルを別途購入しておくと良いでしょう。
次に、VESAマウントキットです。
ディスプレイ裏にマウントするためのこちらのキットが標準で付属しているため、対応ディスプレイをお持ちで、省スペースにこだわられる方には非常に便利だと思います。
最後に、取扱説明書です。
簡素な説明書ではありますが、写真のようにカラーかつ分かりやすい図解も掲載されていますので、「Mini PCは初めてだけどメモリやSSDを拡張したい」とお考えの方も安心だと思います。
【使用感】
まず、本製品はディスプレイ裏にマウントすることも可能ですが、今回は環境が無かったこともあり、普通に横置きで設置してみたところです。
本製品はMini PCの中でもさらに小型の部類のため、USBなどのインターフェイスの取り回しのために多少ディスプレイより手前に設置しても気になりませんでした。
画面に映っているのは初期設定が完了した後のデスクトップ画面ですが、一部のメーカ製品と違い、余計なアプリ類は一切入っていないクリーンなWindows 11環境が手に入りますので、非常に起動も高速で安定しています。
Microsoft Officeは付属していませんが、最近Officeはサブスクモデルに移行している方も多いため、かえって「Office付き製品」を買って無駄な金額分を支払うよりは、より安く手に入るというメリットがあります。
次に、Officeを追加でインストールし、Excelを起動したところですが、さすがに定評のあるIntel N100搭載ということもあってOfficeアプリはストレスなく使うことができました。
また、本製品のWindows 11はProfessional 版が搭載されているため、AD参加などが必要なオフィスPCとしても問題なく使うことができます。
実際に、個人で契約している企業向けのMicrosoft 365 E5のライセンスを適用してみましたが、Microsoft Defender for Endpointなどの企業向けのセキュリティ機能も問題なく稼働しました。
※企業向けのライセンスのため、Windows 11 Professionalに適用した際にWindows 11 Enterpriseの表記になっています。
もちろん個人ユースにおいても、Windows 11 Professionalが入っていることで、他のデバイスからリモートデスクトップで接続することができる、などの特有のメリットがありますので、この値段でProfessional版が手に入るのであれば個人でも全然アリだと思います。
次に、こちらはNetflixで動画を再生しているところですが、こういった動画再生も全く問題ありません。
一方で、動画編集はとなると正直だいぶんキツイですね。とても「多少我慢すればなんとかなる」レベルですら遠い印象です。
あくまでブラウジングや動画視聴、オフィスソフトウェアの使用が主目的であれば違和感なくこなすことができるレベル感の製品、と考えて良いと思います。
なお、ブラウザのタブを大量に開いた際には、さすがに少し重くなってしまうこともありましたので、ブラウジングやオフィスソフトウェアがメインの方でも、より快適に使用したい場合はメモリの増設をおススメします。
次に、N100マシンにゲームを期待して購入される方は少ないと思いますが、物は試し、ということでゲームの動作を見てみることにしました。
Steamをインストールし、いくつか手持ちのゲームを動かしてみたところ、事前に想像した通りの結果ではありますが、やはり3D系のゲームはいずれも起動が精いっぱいで、ほぼゲームとして快適にプレイできるレベルのような動作は不可と考えて良さそうでした。
一方で、2D系のゲームは3Dエフェクトを使用していないようなものは快適に動作可能でした。
こちらは、最近Steam版、モバイル版と共に話題になっているUFOキャッチャー×ローグライクな「ダンジョンクロウラー」ですが、全く問題なくプレイできました。
さらに、一昔前に同じく人気を博した「デイヴ・ザ・ダイバー」も違和感なくプレイできました。
このくらいのグラフィックのインディーズゲームのようなものであれば動く、といった目安感になるでしょうか。
一方、こちらも最近話題のゲームである「コアキーパー」ですが、2D主体のゲームとはいえエフェクトなどにマシンパワーが必要なためか、一応起動もして、操作もできますが、「かなりもっさり」としており、とても快適にゲームができるというレベルではありませんでした。
なお、本製品では3Dゲームが絶対に無理か、というと方法がないわけではなく、NVIDIAのGeForce NowやMicrosoftのXbox Cloud Gamingなどのクラウドゲーム環境を活用することで3Dゲームもプレイ可能です。
こちらは最近Game Passの対象外であっても所有ソフトの一部が動くようになったXbox Cloud Gamingで、サイバーパンク2077をプレイしているところです。
本製品はWi-Fi 6に対応していないため、速度的にどうかな、とも思いましたが遅延も少なく、至って快適にプレイでした。
Cloud GamingならPCじゃなくてもタブレットでいいんじゃ・・・という声も聞こえてきそうですが、ノートPCはさておきデスクトップPCであればやはりディスプレイがタブレットより遥かに大きいものが使用できるため、プレイの快適さでは大きく上回ります。
このように、Microsoftさんから今後も自分がXboxで所有するゲームであれば順次クラウドでプレイできるようになる予定との発表もありましたし、クラウド上のゲームで十分ということであれば、メモリもSSDも増設することなく、本製品を1台買えばOK、とすることも可能でしょう。
次に、ベンチマークとして参考までにCineBenchを動かしてみました・・・と書こうと思ったのですが、計測不能だったため断念しました。
次に、CineBenchの代替としてGeekbenchでCPU性能を計測してみたところです。
結果に意外性は特になく、N100だったらこんな感じだよね、といった印象です。
ただ、Intel N100は数年前のCore i7に匹敵するとも言われているだけあって、あくまで最近の上位CPUに比べればそう感じられる、といったところであり、決して実用性がないレベルではありません。
次に、GPU性能も念のため計測してみましたが、最低限の内蔵GPUというところで・・・やはり、3Dゲームは全く無理と言えるスコアでした 。
最後に、Crystal Disk Markによるディスクのベンチマークを行ってみました。
こちらもまぁ想定の範囲内といったところでしょうか。
NVMe SSDに比べるとやはり「遅い」という評価になります。
ただ、CPUと同様に、通常使用において不足かと言われれば、決してそんなことはなく、本製品は総合してWindows 11機として少なくとも2年程度は使えるレベルだと思います。
【使用しての感想・その他】
本製品の実売価格は3万円ほどのようですが、正直3万円でここまでできれば「十分過ぎる」というのが率直な感想です。
本製品は、元々Air 12「Lite」という製品名から分かる通り、上位版ではなくLite版という位置づけです。
また、実際にUSB Type-Cポートがないとか、Wi-Fi 6に対応していないとか、3画面出力に対応していないとか、メモリは32GB(最大16GBのため)にできない、などの「足りない部分」を挙げれば、それなりにあるものの、そこがそれほど自分にとって重要なポイントでないのであれば、「これでいいじゃん」と自信をもって言えるものです。
特にここ最近は、身の回りのもの何もかもの値段が上がってしまい、家計のやりくりも大変と言われる中ですので、こんな値段でここまで出来ちゃって良いのですか、という、久しく忘れていた「コスパの高さによる感動」を味わわせてくれる製品だと思います。
また、静粛性に関しては、電源を入れた瞬間こそファンがフル回転で大きめの音がしますが、それ以降は耳を澄ましても夜中ですらほかの環境音の方が大きく感じられるくらい非常に静かでした。
スペックが絞られているからこそ発熱も小さく、静粛性も高いため、逆にそういった特性が求められるような環境で導入する場合には、敢えてチョイスする選択肢としてより有力な候補だと言えるでしょう。
個人はもちろん、企業や病院、施設などでWindows 11への移行を検討されている方は、移行先として本製品を検討の選択肢に入れてみても良いんじゃないでしょうか。
【配信元】
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